藻琴山ミズナラ希少個体群保護林

更新日:2023年06月20日

藻琴山ミズナラ希少個体群保護林は、東藻琴山園地区の藻琴山のふもとに位置する7.10ヘクタールの国有林です。特殊な立地条件の下に成立している個体群として、希少個体群保護林に指定されています。
樹高約15~24メートル、直径約40センチメートルのミズナラの巨木が多数そびえる姿は圧巻です。また、枝の間から注ぎ込む太陽光が森を照らす様子は幻想的です。

藻琴山ミズナラ希少個体群保護林について説明をしているイラスト
保護林の木漏れ日について説明をしているイラスト
ミズナラ林道について説明をしているイラスト

希少個体群保護林とは

希少個体群保護林は、希少な野生生物の生育・生息に必要な森林を保護・管理することにより、当該野生生物個体群の持続性を向上させ、野生生物の保護、遺伝資源の保護、学術の研究等に資することを目的としています。北海道内では、168箇所が希少個体群保護林に指定されています。

天然林は、通常はさまざまな樹種が混在して生育しています。しかし、この保護林は天然林であるにもかかわらず、ほぼミズナラだけが生育しています。

ミズナラという樹種名は、水分を多く含む木であることに由来します。ミズナラは水分を多く含むため燃えにくく、山火事があった際にも生き残ることが多い樹木です。この保護林でもかつて山火事が発生し、他の樹種は焼失してしまいましたが、ミズナラは生き残りました。その結果として、天然林であるにもかかわらず、ほぼミズナラだけが生育している状態になりました。

このような特殊な生育環境にあるミズナラ林の持続性を向上させ、野生動物や遺伝資源を保護し、学術研究に資することを目的として、昭和48年(1973年)に天然保護林として設定され、平成30年(2018年)に保護林再編によって希少個体群保護林として設定されています。

藻琴山ミズナラ希少個体群保護林の歴史

昭和43年

1968年

北海道百年記念「北海道の名木美林」に選定

昭和48年

1973年

「藻琴山ミズナラ天然林保護林」として設定

平成30年

2018年

保護林再編の中で、「藻琴山ミズナラ希少個体群保護林」として設定

 

北海道の名木美林について説明をしているイラスト

保護林の植物

ミズナラは北海道では幅広く見られる樹種です。

葉はノコギリのようなギザギザをもった楕円形で、枝の先に多数の葉が集まってついています。秋には落葉します。

ミズナラの葉について説明をしているイラスト

ミズナラのドングリは、殻斗(ドングリの帽子の部分)がお椀型で短い突起が多数ついているのが特徴です。

ミズナラのドングリは、ヒグマにとっては冬眠前に栄養を蓄えるための重要な食料です。アク抜きに手間がかかるため、現在ではミズナラのドングリを人間が食べる機会は少ないですが、縄文時代には冬の保存食として利用されていました。

ミズナラのドングリについて説明をしているイラスト

保護林の林床にはクマイザサが生い茂っています。ひとつの枝に9枚の葉がつくことから「九枚笹」と呼ばれますが、実際には葉の枚数は7枚程度であることが多いです。

なお、北海道では俗称としてクマザサ(熊笹)と呼ばれることもありますが、これは正式名ではありません。本来のクマザサは葉の縁に白い隈取りがあることから「隈笹」と呼ばれるもので、クマイザサとは別の種類のササです。

クマイザサについて説明をしているイラスト

大空町とミズナラ

大空町の「町の木」はミズナラではなく、シラカバとナナカマドです。これは、旧東藻琴村の「村の木」がシラカバで、旧女満別町の「町の木」がナナカマドだったことに由来します。ちなみに、大空町に隣接する小清水町ではミズナラが「町の木」となっています。
 

しかし、「町の木」ではないものの、ミズナラは大空町の人たちにとって非常に愛着のある木です。実際、大空町内ではミズナラの木が街路樹として植えられているのを多数見ることができます。また、現在も大空町では「みずなら号」と名付けられたスクールバスが利用されています。

道の駅メルヘンの丘めまんべつのミズナラについて説明をしているイラスト
スクールバス「みずなら号」について説明をしているイラスト

見学される際の注意事項

なお、この保護林を見学される際は、以下の点にご注意ください。

  • 道路が非常に入り組んでいるうえに目印も少ないため、道に迷いやすいです。このホームページに掲載した案内図を参照のうえ、現在地をよく確認しながら移動してください。
  • 道路にエゾシカ侵入防止ゲートが合計3箇所設置されています。ゲートは施錠されていないため自分で開けて通行できますが、通行の都度必ずゲートを閉めてください。
  • ヒグマの出没が多い場所なので、ヒグマを近づけない対策(鈴などを鳴らす、食べ物を持ち込まない等)を実施してください。また、ヒグマの足跡やフンを発見した場合は、すぐにその場から離れてください。
  • 道路から出て林内へ立ち入ることは厳に慎んでください。植物が踏み荒らされるだけでなく、靴底に付着した植物の種子等が持ち込まれることで外来種が浸入する可能性があります。
  • 山園パイロット牧場内の道路は、農作業車両が多数走行しています。通行の際は、事故防止のため徐行運転をお願いします。特に、牧草収穫時期である6月中旬~下旬および8月下旬~9月上旬は、通行を極力ご遠慮ください。また、時期を問わず、牧草地への立ち入りは厳に慎んでください。
  • 藻琴山の山麓であり標高が高く、11月から4月までは降雪のため道路を通行できません。
ミズナラ保護林への道順を説明しているイラスト1
ミズナラ保護林への道順について説明をしているイラスト2
ミズナラ保護林への道順について説明をしているイラスト3
ミズナラ保護林への案内図

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生涯学習課
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